~戦前の女学校の木造校舎がいまも現存~

尚徳学園の本館の建物は、戦前の木造学校建築として、都内に現存する数少ない遺構と考えられます。
公立校ではないため、東京市の木造小学校設計基準は運用されておらず、また戦前の物資の乏しい時期に急な工事で建設されたらしいことから部材なども転用が多く、さらに後年はさまざまな増減築や改変が加えられていますが、戦前の女子教育が行われた学校建築としての痕跡を現在に至るまでとどめており、貴重な建造物です。
婦女子のために益となる学びの場の創生という、創設者の教育者としての志が高く、建築家・横河民輔(横河ブリッジホールディングス創業者)の援助を仰いで再建されており、横河が法人の初代理事長を務めた経緯があります。
戦後もしばらくは女学校として運営されましたが、その後、廃校。
現在は、尚徳学園の会議室のほか、近隣の住民に親しまれる高齢者や子どものための施設として複数のテナントに利用されています。
駐車場となっている前庭は、かつては盆踊りが催され、近隣の神社の神輿が来るような小さな広場として利用されており、周辺住民の憩いの場でもありました。

尚徳学園の建物とその敷地は、近隣の人々に長く親しまれてきた場所です。
建築されて80余年を経て、建物自体の損傷が著しく、その修繕には多大な費用が想定され、本格的な改修工事に着手するのは難しく、資金面での支援をお願いする必要がある現状です。
しかしながら、戦前の元女学校の建物が保存再生され、今後も地域のために活用されることは、大変意義のあることと考えています。
人と人が出逢い、癒し合うような、0歳から100歳までが集う、世代や境遇を越えた場の創造が、私たち尚徳学園の願いです。
皆さまのご支援をいただけましたら、大変ありがたく思います。

□建物概要
所在地 :東京都大田区南雪谷1丁目17-11(地番:337番地1、337番地2)
構造・規模 :木造 地上2階建
建設時期 :元学校棟:1941年4月(その後増減改築があるが年代不詳)
元住居棟:1967年新築、1991年増築(その後増築があるが年代不詳)
敷地面積 :約880㎡(337番地2部分809.91㎡)
建築面積 :元学校棟:317.20㎡(建物詳細調査による面積、1961年登記時364.46㎡)
元住居棟:約89㎡(1991年増築確認申請時84.91㎡)
延床面積 :元学校棟:502.73㎡(建物詳細調査による面積、1961年登記時549.58㎡)
元住居棟:約169㎡(1991年増築確認申請時163.67㎡)